千賀のヒト - 千賀 英輝

千賀のヒト

千賀が取り扱う商品は、すべて物語があるべきだと思っています。

代表取締役社長 千賀英輝

ずっと使える商品を扱っている以上、
いつまでも責任を取れるお店であり続けたい。

「僕が生まれる前から、ここ神田町に店がありました。それ以前は十六銀行本店ビルの場所にあり、さらに遡ると住之江町(ダイエー跡地辺り)が、戦後、岐阜で時計店を始めた発祥の場所と聞いています」
 岐阜に生まれ、岐阜で老舗の暖簾を守る千賀英輝さん。4代目社長に就任する以前は、大手鉄道会社で運行システムを設計するSEだったという経歴の持ち主だ。
 子どもの頃は、店を切り盛りする両親より祖父母と過ごす時間が長かった。千賀の2代目だった祖父は生粋の時計好きで、世界中の骨董市で和時計(江戸時代の日本独自の時計)を買い集め、壊れているものでも自身で部品から作製して修理し、動かしたという。
 「そんな祖父の影響もあったのか、幼い頃の遊びといえば物づくり。商売柄、ダンボールがいつも身近にあったので工作ばかりしていましたね。父はお客さんと話すのが好きな社交的な人物ですが、僕はどちらかと言うと、人より物とじっくりと向き合う方が性に合っています(笑)」

“張りを作るために節を持つ”。
宝石はその役割を担うものなんです。

 宝飾業界歴10年。家業を継ぐにあたって、先代が愛用していたジュエリールーペを譲り受けた。小売業がメインのため店頭で宝石鑑定をする機会は稀だが、視察先の海外で買い求めた宝石を眺め始めると、時間を忘れるほどに没頭する。
 「ダイヤモンドは無色透明に見えますが、ルーペで内包物を覗くと鉱石の成長後がさまざま見られます。小さな結晶が岩盤の中で幾星霜もの月日を過ごし原石になっていくーーその過程に思いを巡らせると、いま手もとにその石があることさえも奇跡に感じます」
 ルーペ越しに広がる光り輝く石の中の宇宙。鑑定士の勉強を通して、宝石にさまざまな種類があることも知った。顕微鏡でダイヤモンドの中を初めて見た時の感動は、今でも忘れられない。
 「言ってしまえば単なる石かも知れない。ですが、一つひとつに不思議な力があり、その美しさは唯一無二。そういったところが、身に着ける人の心を明るくし、ときに支えるものになれる所以だと思うんです。
 鑑定士の勉強中、『張りを作るために節(ふし)を持つ』という言葉を知りました。まさに宝石は人生の節目に持つことで気持ちにハリを作るもの。僕たちは宝石の魅力を発信していくと共に、時代に置き去りになっている“節目の大切さ”を伝えていく役割もあるんです」

ダイヤモンドは贈り主の“覚悟の証し”。
それに相応しい品質の商品をご提案します。

 事業承継したときから、ずっと「宝石は何のためにあるのだろう」と考え続けてきた。そして、90年代、消耗品的に売られた時代に根付いた「宝石はお金持ちが買うもの」といった印象を払拭したいと千賀社長は考える。
 「中世の頃からヨーロッパでは男性から女性に宝石を贈る風習がありましたが、僕が思っているのは、ダイヤモンドは結婚の儀式のためのものでなく、思いを込めるためのもの。贈る男性が一人の女性を一生愛する覚悟を示す、言うなれば“覚悟の証し”。何十億年もの時を経て結晶化し、世界のどこかの岩盤から掘り出されてたった1つのダイヤモンドは、まさにそんな“覚悟”を載せるのに相応しい代物なんです。もちろん、購入価格に個人差はありますが“覚悟”は同じ。贈られる側も身に着けることで、そこに込められた確かな愛を実感するでしょうし、永久に残る物ですから、そのご家族に代々受け継がれていったらいいなと思います」
 “覚悟の証し”だからこそ、売り手側も品質的にも間違いのないものを提案し続けたいと、千賀社長は衿を正す。
 「ジュエリーはもちろんですが、『いつか息子に譲りたい』という思いでお求めいただいた腕時計でも、“覚悟”を決めて購入したもの。それが一年で壊れてしまったり、キズものになっては意味がありません。いつまでも長く使っていただけるよう、千賀ではアフターフォローを大切にしています」

“生活を豊かにするもの”を売る。
だからこそ、心に響くサービスを。

 千賀の商品は、「身に着ける」アイテムばかり。腕時計は腕の上で時を刻み、宝石は肌の一部となり、メガネや補聴器は目となり、耳となる。それだけに、千賀社長は商品の着け心地、掛け心地にこだわり、調整の大切さを訴求し続ける。
 「メガネもピンからキリまでありますが、千賀で取り扱っている商品は“生活を豊かにするもの”。掛けることで自分の見ている世界が広がるものであると同時に、掛けていることすら忘れてしまうほど自分の身体の一部になるのがベストです。
 実際に、メガネは掛け心地がすべて。鼻あてのズレや耳のかかり具合、フレームの歪み、レンズのキズなどを防ぐためにも、定期的な調整が必要です。
 一度、ご購入いただいたお客様はどれだけご満足してくださっているか。メンテナンスを通して、『あの店は丁寧に、真剣にやってくれる』と感じていただけるよう、僕たちが千賀でやるべきことはまだまだあります」

 人づてに紹介されることで、お客様と店との間に初めて信頼関係が生まれる。そのためには、どのようにお客様の心に響くサービスを届けていけるか。
創業200年に向け、千賀社長の挑戦はいま始まったばかりだ。


代表取締役 社長

千賀 英輝Hideki SENGA

昭和49年8月18日生まれ。岐阜県出身。
1998年 東京工業大学 工学部 卒業
同年 東日本旅客鉄道株式会社 入社
2007年 同社 退社
同年 株式会社千賀 入社